おくところ

色々。

おいでよ『コーポ・ア・コーポ』の沼。

また面白い漫画に出会ってしまいました。

岩浪れんじ先生の『コーポ・ア・コーポ』です。

 

 

 

 

大阪のとあるアパートの住人達を中心に描かれる、ささやかに、強かに生きる人間の群像劇。

舞台は平成初期?くらいなのかな?

最初に言っておくと、主軸となるコーポの住人達を始め、登場する人物は大体何かを抱えていて、借金するわDVするわ女から金をたかるわと、この文面だけ見ると「どうしようもない……と思ってしまうんですが、それを悲壮感でなく、どこか生暖かい、少し笑ってしまうような空気で包んでいるような漫画です。

大阪の下町の空気感や、生々しい人間描写が本当にすごい。

ただ、自殺やDVやシンナーなどの描写もあるので、しんどい人にはしんどいかもしれないです。

 

で、この漫画はWEBコミックのコミックめづで掲載されていて、無料で読める話もいくつかあるのですが、ある話の数コマの描写をまた別の話、違う人の軸の回で詳細に描いたりされているので、「あの時のあのコマってそういう事だったのか!」となる。

『群像劇』ってまさにこういう事よな、と思わされます。

そしてそれがわかってしまうと、一話読むごとに「これはあの時の……!」となるし、「次の話をくれぇえ!!」となるし、この漫画は本当に沼です。

 

先程も書いたように、「どうしようもない……」と思うような一日一日をその日暮らしで生きている登場人物達も、やはりその背景にはどうしようもなくなった経緯があって、自分ではどうしようもなかった事があって、それでも強かに生き抜こうとしてって、またそれを単体で描いてくれるから「どうしようもない……でも好き……と、いつの間にかキャラクターを好きになっているんですね。

その人物描写も、空気感も、本当に一つの短編映画を観ているような気持ちになる。

 

何より、作者の岩浪先生の、「こういうのが好き~~!!」という『好き』が詰め込まれていて、それがめちゃくちゃ巧みに昇華されているので、読んでいて気持ちが良いし、単行本のおまけについている登場人物のプロフィールなんかは「愛……と思うのです。

 

公式が「墜ちて生きる人間たちのファッキン下層生活!!」と謳っているのですが、その通り本当に「生きよ、墜ちよ」という坂口安吾の言葉が似合う漫画だな……と思います。

とりあえず、コミックめづで無料で読める話が結構あるので、まずはそこから読んでみて欲しいです。

www.comic-medu.com

そのノリで読み始めて、私はいつの間にか単行本を全巻買ってました。

推しは岡林さんと中条さんです。

 

中条さんと石田くんの拮抗した力関係も大変良いです。

 

 

おいでよ、『コーポ・ア・コーポ』の沼。